アラフォー過ぎても人生楽しみたい  本・子育て・人間関係

アラフォー司書です。書評中心に思うところを綴ります。キラキラしてません。

「号泣する準備はできていた」前回の続き★

こんにちは。

前回に引き続き、江國香織さんの『号泣する準備はできていた』です。

アラフォー女子目線で見どころを探っていきます!
では元気にGO!!


アラフォー的見どころ②人生の水平飛行に入ったアラフォー女性たちの心情・その2

 

前回「こまつま」の美代子という女性を紹介しました。


ここでもう一人、すごく刺さった女性を紹介します。

「手」の主人公、レイコです。
37歳独身、狭いアパートに愛犬と暮らしています。
昨年母を亡くし、妹との交流はあるものの決して賑やかではない生活を送る女性です。

 

そんなレイコを気にして訪ねてくるのがかつての男、たけるです。
学生時代から付き合いがあるのですが、友達以上恋人未満みたいなよくわからない存在の男です。
私から見たら肉体関係があったら普通に恋人でしょ、と思うんですがねえ。

 

突然のたけるの訪問に憤慨するレイコですが、結局家に入れてひとときを過ごします。
ひょうひょうとしたたける相手にいちいち強がった態度を取るレイコ。
そんなレイコがなんとも可愛く見えます。

 

吉本ばななさんがエッセイで、「自分とは違う流れに身を任せることがつまり”癒し”だ」という趣旨のことをおっしゃっていました。
レイコにとって、半ば強引なたけるとひとときを過ごすことがまさに癒しになったんじゃないかな。

 

もう10代や20代の女の子みたいに上目遣いであざとく甘えることもできない。
そうするにはアラフォーは大人過ぎます。
だからレイコみたいに、偶然訪れた癒しの時間を糧に、なんとか一人でやっていくしかありません。

なんだか悲壮な感じがしないでもないですが。
でも、「何でもない」という顔で自分の内面を守りながら実は様々な葛藤を抱えている、それこそが大人の自由なんじゃないかと思います。

 


アラフォー的見どころ③性懲りもない男性に苦笑いするしかない

 

この短編集、私から見てあんまりカッコイイと思える男性が出てこなかったんですが…。
でも逆に「なんやねんこの男…」とあきれ返る男性が一人いました。

「煙草配りガール」の主人公・綾の夫です。

 

バーで、綾、綾の夫、綾の友人の百合、百合の夫の4人が飲酒しながらのんびりしています。
そこに新製品の煙草を紹介する”煙草配りガール”がやってきて試供品を置いて去っていきます。
取り留めのない会話が続きますが、百合の夫の過去の浮気に話題が移ってから、なんだかダルい雰囲気になります。
さて帰る前にちょっとトイレに…と綾と百合が席を立ったスキに、綾の夫が新製品の煙草をポケットに入れるんです。
他の銘柄には興味がないはずなのに!

 

百合の夫の浮気を話題にした直後にこれだから、めちゃくちゃブラックだな、と思いました。
興味がなくても試してみたい、つまり、浮気しがちな男性の本音がのぞく行動だと感じたんです。
もうブラックすぎて苦笑いするしかありません。

こういう深読みができるのもアラフォーになったからだと思いました。

そして余計な説明を加えずこういうことをサラッと描く江國さん、スマートで凄みがあるなと感じました。

 


アラフォー的まとめ

 

どの短編も、どこにでもいそうな女性の本当に普通の日常生活が描かれています。
読んでいると、江國さんって絶対的に全ての女性の味方なんだなと思えてきます。
普通の専業主婦も、普通の独身女も、バリキャリ女性も、略奪愛をした女性も、もうすぐ離婚する女性も…。

 

もし身近に本好きの女友達がいたら、ぜひこの『号泣する準備はできていた』を一緒に読んでみてください。
そしてお茶でもしながら感想を語り合ってみてください。
きっとかなり面白いおしゃべりができるんじゃないかなと思います。

 

アラフォーで江國さんを再発見できて本当に良かった!!