こんにちは!!
朝から食料品の買い出しを済ませ、気温が上がる午後からは家にこもって書評を書くことにします。
ではさっそく前回の続き、『潮騒』です♪
アラフォー的見どころ③女同士の連帯がいい感じです♪
舞台となる島は人口1,400人の小島です。
本作が刊行されたのは1954年。
島外に出るのは用事のある男性だけで、女性は家庭内で男性の世話と海女の仕事に励みます。
この海女の仕事がいい感じに、年齢を横断した女性同士の連帯を生んでいるんです。
海から上がって冷えた体を焚火で温めながら雑談を楽しみます。
裸の胸を見せて品評しあったり、初江の恋バナをみんなで聞いたり。
こういう、個人の課題を自分だけで抱え込まないで済むあけすけな環境って精神衛生上すごくいいんだろうなと思いました。
みんなでわいわいやっているうちに解決策を思いついたり、解決した気分になったり。
海女たちが集まっている場で初江は新治の母に義のあるところを見せ、みな初江の行動に感銘を受けます。
「初江は新治の嫁にふさわしい」と女性たちが認めた瞬間です。
三島由紀夫はその場面を、
「島の政治はいつもこうして行われるのだ」
と表現しています。
女の集団のパワーを全面的に認めた言葉だなと感じました。
男尊女卑の思想がまだまだ強い時代に、なんとも新鮮です。
アラフォー的見どころ④ヤングアダルト(YA)文学としても読めます!
ヤングアダルト(YA)とは図書館サービスの世界ではおおむね12歳から18歳までの利用者のことを指します。
大人への階段を上り始めた世代ですね!
「YA文学」と呼ばれる文学の一分野も確立しています。
この『潮騒』、今回再読してみてまさにYA文学じゃないか!と思いました。
初江と出会った18歳の夏に新治は一段階成長します。
(初江はというと、最初から最後までやたら肝が据わっていました。女、強し!)
一人の少女を一途に思うことで会えない時の苦しい気持ちを知ったり、航海士として新しい仕事に挑み初江の父からも上司からも認められます。
「(新治は)親しい労働に身を打込んだ。その労働は、仕立てのよい着物のように、彼の体と心にぴったりと合い、ほかの煩いのひそみ入る余地がなかった。」
若者がいきいきと自分の仕事に取り組む姿が清々しくて気持ちいいですね。
これまでは故郷の島で漁師をしていた新治ですが、初江の父に請われて沖縄まで物資を運ぶ航海士の仕事にも挑戦します。
その経験を経て視野が一気に広がります。
初江との恋愛の顛末も面白いですが、若者が自分の人生に大きく漕ぎ出す姿に注目して読むと新たな感動を覚えます。
アラフォー的見どころ⑤ラストシーンが意味深(笑)
ハッピーエンドで終わるこの物語ですが、私はラストシーンが気になって仕方ないんですよ。
新治と初江の認識の違いがはっきり描かれて終わるんです。
けっこう命がけの航海をして帰ってきた新治ですが、初江はお守り代わりの自分の写真が彼を守ったと考えるんです。
そんな初江を見て新治は、いや、おれが自力で難局を乗り切ったんだと考えます。
初江の考えには女性特有の母性が出てますね。
新治の考えには現場を経験した人の自信がのぞいています。
この違いが今後の結婚生活でも数々の食い違いを生むんだろうなと思います。
ハッピーエンドで波乱の予感。
ニヤリとしてしまいます。
数年ぶりに読んだ『潮騒』、めちゃくちゃ面白かったです!
近代日本文学が気になり始めたので次回は夏目漱石の『草枕』にします♪
ではみなさん次回までお元気で!!
