こんにちは。
今回ご紹介する本は”女友達の物語”です。
女友達…。
皆さん、友達は多いですか?
私は正直言って友達は多いほうじゃありません。
現在、生まれ故郷に住んでいるのでありがたいことに周囲には同性の幼なじみが何人かいまして、何かあったら気軽に相談できる環境です。
本当にありがたいです。
子供が成長する中でいわゆる「ママ友」との付き合いも発生します。
数年前までは全方位のママ友と仲良くするべく気を張っていましたが、今はもうやめてしまいました。
前回も書きましたが私は華やかな社交は苦手、波長の合うママ友とだけ力まずにお付き合いしています。
「40超えたら苦手なことはバッサリ諦める、得意なことに注力する」
そう思えたら楽になりました。
そんな日々の中で出会ったのが「ブータン、世界でいちばん幸せな女の子」です。

作者はどんな人?
作者は阿川佐和子さん。
私にとっては、雑誌・日経ウーマンの連載エッセイ「妹たちへ」をかつて担当されていたイメージが強いです。
失礼ながら小説も執筆されていたとは知りませんでした。
1953年生まれ。お父様は小説家の阿川弘之さん。慶慶應義塾大学文学部を卒業後、一時は織物職人を目指したそうです。その後テレビ番組のリポーター、アシスタントを経て1989年からは「筑紫哲也のNEWS23」のキャスターを務められました。
2012年には「聞く力」がベストセラーに。
女優の壇ふみさんと仲良しなのは有名ですね!
あと、新幹線「のぞみ」の名づけ親だそうです。びっくり。
作家、エッセイストとして、講談社エッセイ賞、島清恋愛文学賞、菊池寛賞、橋田賞を受賞されています。
どんな話?見どころは?
さて、「ブータン、世界でいちばん幸せな女の子」とはどんな話なんでしょう?
ひとことで言うと主人公ブータン(丹野朋子)を中心とする連作短編集です。
本の帯には「忘れられていた彼女は誰よりも明るい大人になっていた」というキャッチコピーが付いています。
そう、ブータンはすごく明るくて元気な女性なんです。
43歳のブータンが中学時代の同級生ワタベ(女性)と再会するところから物語がスタートします。
登場する同級生たちは全員で6人。みんなそれぞれ高齢化した親のこと、夫との関係、義実家との関係などで思い悩んでいます。
このあたり、アラフォー女子には他人事ではありませんね。
同級生たちやその子供、ブータンが担当する患者さんなど、様々に語り手を変えながらブータンの人生が立体的に描かれていきます。
見どころの一つ目は、ブータンの生き方です。
中学校時代のブータンは「地味で暗くて、他人と接触したくないオーラに満ちていた」ようです。不器用な人ですよね。
ですがアラフォーになった今は明るく元気で、偶然再会したワタベにグイグイ接触していきます。
ちょうど、Eテレの番組「みいつけた」のサボ子さんみたいなハイテンションキャラなんですよ。
ちょっと暑苦しいけど決して憎めない、みたいな。
人生のどこかで180度「キャラ変」したんですね。
ブータン、明るくなったのは良かったんですが、友達だと信じていた人から裏切られても怒らないんですよ。
一般的に訴訟を起こしても良い内容の裏切りなんですが「いいのいいの」で身を引いちゃうんです。
私からしたら腹が立つほどのお人好しですが、ここにブータンの根本的な不器用さや気の弱さが透けて見えて、ちょっと胸が痛みます。
「時と場合によっては怒っていい」という柔軟さは獲得できなかったようです。
仲良くなった女友達との関係に亀裂を入れたくなかった、という見方もできます。
女友達を何よりも求めていたんだと思います。いじらしいです。
見どころの二つ目は、そんなブータンが親しくなった人たちの人生にしっかり大切な思い出を残すところです。
明るくなったブータンは、正面から人に向き合っていくので良くも悪くも計算高さは皆無です。
ちょっと考えが浅いんじゃない?と感じる場面もあるほどです。
私がすごく心に刺さったのは、リハビリ訪問先(ブータンはリハビリ職!)の82歳の女性と交流するエピソードです。
その女性、10代の頃に乗りそこねたジェットコースターに乗らずに死ねるかと言います。
その望みを叶えるためにブータンは尽力し、見事に二人でジェットコースターに乗りおおせます。
その場面のまあ騒がしくて楽しそうなこと!
その後その女性は認知機能が低下しますが、ブータンを「女学校時代の友達」と認識するようになるんです。
倍近く年の離れた人に本音で友達と思ってもらえるなんて、ブータンすごいなと思いました。
時が経ってブータンの人生に大変なことが起こっていたと判明しますが、6人の同級生たちやブータンの娘の心に、ブータンの思い出はしっかり刻み付けられたのでした。
正面から相手に向き合うブータンの生き方はある意味もろ刃の剣ですね。
友達になれる確率が高くなる一方で、傷付く可能性もある。
もし近くにブータンみたいな人がいたら…きっと私は仲良くなりたいと思います。
でも、私はブータンみたいな生き方はできないかな。
計算なしで自分を開示することはできません。
以前、私の情報をあるママ友に思いがけない方法で拡散され、つくづく話し相手は選ぼうと思いました。