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アラフォー司書です。書評中心に思うところを綴ります。キラキラしてません。

書評『ふたりの窓の外』~大人女子に刺さる恋愛小説~

こんにちは。
年末に近づいて来ましたねえ。
年末はイベントごとが多くてせわしないけどやっぱり心が浮き立ちます。

 

さて、これが今年ご紹介する最後の本になると思います。
今回は趣向を変えて恋愛小説を読んでみました。
恋愛は明確に私の苦手分野だし、アラフォーシングルマザーが恋愛を語るのはかなり抵抗があったのでこれまで避けてきました。でも仕事で選書するなかで「おっこれは読みたい!!」とピンときた本に出会ったんです。

 

それは深沢仁さんの『ふたりの窓の外』です。

それではさっそくあらすじを簡単にご紹介します!

 

 


『ふたりの窓の外』ってどんな話?


火葬場の喫煙所で偶然出会い数十分会話した二人の男女。
男性は鳴宮庄吾(37歳)、女性は藤間紗奈(28歳)。
紗奈は浮気したまま事故死した婚約者ともうすぐ旅行に行くはずでした。
ひょんなことからその旅行に同行することになった庄吾。
春の一泊旅行にはじまり、夏、秋、冬と四度しか会わなかった二人の一年を、交互に視点を変えて描きます。
さて、二人の関係はどう変化していくのでしょうか?

 


深沢仁さんってどんな人?


作者の深沢仁さん、実は以前に図書館だよりで本を紹介するにあたり短編を一読したことがあります。
『この夏のこともどうせ忘れる』っていう短編集なんですが、ラノベっぽいのに特異な心理が描かれていて印象に残っていました。
だからこの本に出会って「おお!あの深沢さんか!」と思いました。
名前からして男性(雰囲気イケメンの)だと思い込んでましたが女性です。

2010年、詩集『狼少女は羊を逃がす』を自費出版してデビュー。
2011年、『R.I.P.天使は鏡と弾丸を抱く』で第2回「このライトノベルがすごい!」大賞優秀賞を受賞。
2020年、『この夏のこともどうせ忘れる』で第12回高校生が選ぶ天竜文学賞を受賞。
ほかに『眠れない夜にみる夢は』や『英国幻視の少年たち』シリーズが人気です。

 


アラフォー的見どころ①頑張らなきゃならん現代女性にはたまらん展開


さてさてさっそく見どころを探っていきたいと思います!

私もそうなんですが、ヒロインの紗奈はまったく男性ウケするタイプではありません。
笑顔が少なく、冷静で、男性に頼ったりおごられたりするという発想がなく、外見も素朴です。
男性にとって自分の存在意義を感じさせてくれない女性なんて、可愛くないし面白くないでしょうね。
紗奈自身も自分は男性から見たらつまらない女性であると自覚しています。

一方の庄吾は一応俳優(売れてないけど)なのでルックス良しで高身長。
英語はネイティブ並み、頭の回転が速く、優しく、コミュニケーション能力も高く、実家は資産家。
めっちゃハイスペック男子ですね~。

なんの接点もなかった二人が同じ時間を過ごすうちに影響を受け合い少しずつ変わっていきます。
もちろん結末は言えないのですが大切に時を重ねていく二人の様子にドキドキとニヤニヤが止まりません。

庄吾は紗奈の性質に新鮮さや面白みを感じて惹かれていくわけなんですが、現実世界でハイスペック男子が地味でまじめな女性に惹かれるか!?とツッコミそうになりますが…。
そこは絶対あり得ないなんて言いきれませんもんね!
男性ウケをまったく狙わない素朴な女性が、無理せず自分らしくふるまい続けた結果、素敵な結末が待っている。
これは「私なんて~」とコンプレックスを持っている女性に非常に夢を見させてくれる展開だと思います。

私は女性なので女性視点で語りますが、現代の女性は働くことも出産も子育ても親の介護も求められ、非常にしんどいけど周囲に頼りにくい状況にあると思います。
感情を抑えて冷静でいることを強いられる場面も多いでしょう(そんなの男性も女性も一緒か)。
私は多かれ少なかれそんな日常を送っていますがそんな私から見て、紗奈が理解され幸せになっていく過程が嬉しかったですね。
感情移入しやすいヒロインが幸せになることで自分も癒されるという理屈です。

Mr.Childrenの名曲『つよがり』にぐっとくる方はきっとこの作品にも同じくぐ~っとくると思います!


では今回はこのへんで。