アラフォー過ぎても人生楽しみたい  本・子育て・人間関係

アラフォー司書です。書評中心に思うところを綴ります。キラキラしてません。

書評『うそコンシェルジュ』続き

こんにちは。
前回から引き続き『うそコンシェルジュ』です。

主人公・岩崎と先輩社員・中山が日々のストレスにどう対処していくか、という内容の短編です。
ではさっそく見どころを探っていきましょう!

※いつもは表紙の写真を掲載していますが写真を撮る前にうっかり本を返却してしまったので今回はありません…。

 


アラフォー的見どころ②バレないならモノに当たったっていいじゃないか

 

仕事と親に対するストレスを抱える先輩社員の中山。
炎上芸能人<C>のスキャンダル情報を漁ってなんとか気持ちのバランスを取っています。
それでも気持ちが収まりきらないとき、彼女がやるのはなんと”母親が大量に貯め込んだ皿をバッキバキに割ること”!!。
なんと実家から皿数枚を持ち出して職場の駐輪場で割るんです(笑)。

シュール過ぎてめちゃくちゃ笑いました(笑)。

中山の母親は独り暮らしの家の食器棚(×2)と引き出しと戸棚にパンッパンに皿を貯め込んでいます。
そしてそれを指摘されると怒るんです。

これもめっちゃくちゃわかります。

私は75歳の母親と同居してますが、中山の母親と全く同じで一生使わない食器を大量に貯め込んでます。
廃棄を匂わせようものなら仏頂面になります。
皿だけじゃなくて、定期購読の雑誌やら薬袋やらレシートやらチラシやら空のペットボトルやら瓶やら数十年前の古下着やら古靴下やらを、大量に貯め込んでます!
そればかりか、使用済ティッシュやら使用済マスクやら使用済ばんそうこうやら使用済ラップやら使用済湿布やらを使用が済んだ時点でその場に数日間放置します!!
指摘するとやっぱり怒ります!!!
ゼェゼェゼェ…。
ああ考えると怒りで呼吸が荒くなる…。

年を重ねると物事の判断がおっくうになるし、後片付けもできなくなるんだろうとは思います。

相手が変わってくれる希望がない分、怒りのやり場がありません。

だから自分の精神衛生のために、相手にバレないならモノに当たっていいじゃないかと思います。
皿を割る中山を目撃した主人公の岩崎は、
 ”あの人、なんだか良さげなことをしていないか。”
と感じます。
めっちゃ実感こもったいい感想だなと思いました。

世間にはモノを貯め込む高齢者に寄り添う言説がたくさんあります。
でも津村さんは、親世代にメンタル削がれている人に寄り添ってくれて私は救われました。

津村さんの作品って、ストレスが掛かった心を除圧してくれるなと思いました。

 

 

アラフォー的見どころ③自分が割を食っている人間関係、どうする?

 

岩崎の悩みは、友人の麻奈美が人としてどうかという内容についてしつこく同意を求めてくること。
高校以来の友人であり、自分が仕事で辛い時期に支えてもらったという恩もあり、岩崎は悩んでいます。
でも一方で「こいつならいくらでも話を聞く」と馬鹿にされているとも感じています。

これもめちゃくちゃわかります。

その人との関係を維持すべき理由は複数あるんですが、一方で自分がないがしろにされている事例も複数ある状況ですね。
自分がないがしろにされたことを「気のせい」として何事もなかったかのように振舞うか。
それとも自分に正直になってその人と距離を取るか。

子供が昔から仲良くしている子がいまして。
その子の母親がちょっと…私には耐えられない人物で最近距離を取ることにしました。

彼女、子供の預け先に困ったときは遠慮なく頼ってくるんですが、利用が終わると別人みたいに疎遠になります。
連絡しても返事がない、約束も守らない、二枚舌を使う、などなど…。
自分がぞんざいに扱われているのがわかります。
でもそれを彼女は全くなんとも思ってないのです。

子供同士は仲がいいのでその関係に配慮して彼女の振る舞いを直視しないようにしてきました。
でもあることをきっかけに距離を取ろうと最近心に決めました。

子供同士が付き合いたいなら付き合えばいい。
でもその母親とはもう友人のような距離感では付き合いません。

岩崎の友人・真奈美もその母親も、我慢ならない人って周囲のことが見えていないし彼ら彼女らに変化を期待すると失望するだけです。
私はその母親と付き合うのをあきらめてかなり気持ちが楽になりました。

 


まとめ

 

津村さんの作品、初めて読みましたが「痛快!!」という言葉がピッタリでした。
津村さんは世の中の大半を占める、真面目で良心のある人の立場に立っています。
そしてそんな属性から少しはずれた、配慮がなかったり自分勝手だったりする人たちの姿を容赦なく描写してくれます。
それが痛快なんです。
自分のメンタル不調を自覚したらまた津村作品を読まねば。