こんにちは。
前回からの続き、『夏日狂想』です。
ではさっそく見どころを探っていきましょう!
アラフォー的見どころ②創作に命を懸ける人々がアツイ
礼子の付き合う男性はアツイ文学者ばかり。
エネルギーのすべてを創作につぎ込みます。
中でも一番凄まじいのが最後の恋人、橘です。
売れっ子作家になって多忙を極めるのですが、原稿を落としたくないから薬に頼りついには薬物中毒で入院してしまいます。
橘は太平洋戦争中の厳しい言論統制を経験していて、その反動で依頼された原稿はひとつも断りたくなかったのですね。
死の床にいる橘が自身の人生を振り返り「創作という地獄にいる人間」と言います。
創作って自分との戦いなんだと思います。
だから、自分と向き合い創作に取り組んでいる人はみんな勇敢だと思うし、作者とその作品に私は敬意を表したいです。
木村紅美さんの『熊はどこにいるの』や宇佐見りんさんの『くるまの娘』を読んだ時もそうだったけど、書き手の腹の底からの叫びが聞こえて周囲の音が消えたように感じた経験が何度もあります。
書くことでも、描くことでも、歌うことでも、踊ることでも、なんでもいいです。
自分を表現したいという欲求は大切にされなければならないことです。
そしてアツイ文学者とともに見逃せないのが編集者の存在です!
本作りの陰に編集者の尽力あり、とつくづく感じました。
最初に礼子の文才を見出して書くように強く勧めた女性編集者、長編小説の執筆にずっと伴走した男性編集者。
自分を信じて待っていてくれる編集者がいるから、作家は孤独な戦いを続けていけるのかなと思いました。
作中に描かれる礼子と編集者との絆には胸アツですよ!
アラフォー的見どころ③たった独りで自分の仕事に向き合おう
『夏日狂想』の一番の見どころは終盤です。
独りになった礼子が信頼できる編集者とともに一歩一歩作家として歩んでいきます。
文才はあるけどそれを作品として昇華させるには地道に原稿用紙を埋めるしかないのです。
生活はカツカツ、でもそれは確かな喜びに満ちた生活だったと思います。
大好きな場面があります。
最初の長編小説執筆中、礼子は独りぼっちで大晦日を迎えます。
”独身中年女で生活に余裕もなくなんて哀れなんだろう”が世間的な評価でしょうか。
でも礼子は心の中で
「寂しいか、と言われれば寂しいような気もしたけれど、今、抱えている原稿のほうが心配だった」
と考えます。
いいですね~!
自分のやるべき仕事に黙々と取り組む姿が清々しいです。
夢中になれるものがあれば、性別とか年齢とか肩書とかもろもろの属性なんてどうでもいいじゃないですか。
自分のやるべき仕事から目を逸らさないって、しんどくもあるけど幸せなことだと思います。
そんな礼子の姿は現代の女性への強いエールになると思います。
今を生きる女性は、働かなきゃいけないし、子供がいたらワンオペだし、家事も家族の世話も結局私がしなきゃならないし、孫育てを任される場合もあるし、本当に忙しいですよね。
そんな中、自分のライフワークを持っている女性も多いと思います。
礼子は必死に自分の食い扶持を稼ぎながら原稿を埋めます。
そんな礼子の姿は、同じように日々生活に追われながらも自分のライフワークを諦められない現代の女性たちを勇気づけてくれるはずです。
強く生きる女性の姿に勇気をもらって今回はこのへんで。
次回も引き続き女の生き方を描いた作品を読みたいと思います!
