アラフォー過ぎても人生楽しみたい  本・子育て・人間関係

アラフォー司書です。書評中心に思うところを綴ります。キラキラしてません。

「ユタと不思議な仲間たち」ー昭和ののびのびとした子供時代ー

こんにちは。

 

日本全国梅雨明けして早くも猛暑日続出ですね。

もう暑さに体が付いていかず、夕方にはぐったりしています(泣)

みなさん、どうか熱中症にはお気をつけください!

 

さて、次は何を読もうかなと、勤務先の図書室の本棚をぐる~っと一周しました。
それで本当に偶然目に留まったのが、今回ご紹介する『ユタと不思議な仲間たち』です。

 

劇団四季のミュージカルで有名な作品なので、ご存じの方も多いかもしれませんね!

 

だいぶ前ですが作者の三浦哲郎さんの『短篇集 モザイク』を読んだことがありまして。
川端康成文学賞を受賞した「じねんじょ」をはじめ、滋味あふれる作品が収録された心に残る短編集でした。

 

そんな感じで「三浦哲郎さんの作品は面白い」というイメージを持っていまして、『ユタ』のあらすじを読むと、どうやら座敷わらしが出てくるメルヘンらしいので、ちょっとほっこりしたくてこれに決めました★

 


ユタと不思議な仲間たち』ってどんな話?

 

主人公・勇太は東京で生まれ育ちましたが、突然の事故で父親を亡くし、母親の故郷である東北の山間部の村に引っ越してきました。
でも村の子供たちからは「東京の子」「モヤシ」などと言われなかなか仲間に入れてもらえません。
ちなみに勇太は村の人々から「ユタ」と呼ばれています。
ある日、仲良しのおじいさんから座敷わらしの話を聞いたユタは、度胸試しに「出る」とウワサの旅館の離れに一人で泊まります。
そこで9人の座敷わらし達と友達になり、彼らとの交流を通してユタは少しずつたくましく成長していきます。
小学校中学年程度からでも楽しく読める作品です。

 

作者の三浦哲郎さんってどんな人?

 

1931年青森県八戸市生まれです。実家は呉服屋でした。
早稲田大学に進学しますが、兄が失踪したため帰郷し、地元の中学教師となります。
その後再度早稲田大学に入学、卒業後に作家活動を開始します。
1961年に『忍川』で芥川賞を受賞。栗原小巻さんと加藤剛さん主演で映画化されてますね!
1963年にはNHK連続テレビ小説『繭子ひとり』の原作も担当しています。
野間文芸賞大佛次郎賞川端康成文学賞など受賞歴多数です。

親族が不幸に見舞われることが多かったようです。
兄が二人とも失踪、姉二人が自殺…気の毒ですね。
家族に関する詳細は『白夜を旅する人々』に書かれています。

 

 

アラフォー的見どころ①なんともいえない昭和ののんびりした雰囲気

 

ではでは『ユタと不思議な仲間たち』の見どころをみていきたいと思います!

作品には章ごとにセンスあふれるタイトルが付いているんですが、第一章のタイトルが「眠り薬の風が吹く村」。
そして書き出しが、
   ”いなかの春風のなかには眠り薬がまじっている。”
なんです★
しょっぱなから心をわしづかみにされちゃいました~。
うららかでのんびりとした平和な春の雰囲気が伝わってきますね。

 

作品が刊行されたのが1971年のこと。
私は1982年生まれですが、この”いなかの春風には~”という一文で、遠い子供時代の皮膚感覚がよみがえってきました。
暑くも寒くもないちょうどいい気候の中、ちょっとボーッとした頭で友達と外で遊んでたな…。
これは何年たっても消えない幸せの記憶です。
この感覚、戦後の平和な昭和に子供時代を過ごした方なら共感してもらえるのではないでしょうか?

 

ユタを取り巻く大人たちもいい感じなんですよね。

ユタと仲良しの寅吉じいさんは、ユタの親類が経営する旅館で働く人です。
旅館での仕事はまき割と火の番。
友達のいないユタは学校が引けてからよく寅吉じいさんの仕事場を訪れて、なんとなくおしゃべりの相手をしてもらいます。
で、寅吉じいさん、「ガソリン」が切れたらフラッと場末の居酒屋で一杯引っかけます。
旅館の従業員たちも寅吉じいさんはそういう人だと受け入れています。

このユルさ。
良い意味で労務管理なんて全然されてませんね~(笑)

 

ユタの母親もなんかのんびりでいい感じなんですよ。
なかなか村になじめないユタにヤキモキすることなく、あくまでのんびり明るい人です。
きっとユタ自身が自分でなんとかすると信じているのでしょう。

 

そこここに見守る大人の気配を感じる村で、ユタは思いのままに探索をします。
こういう、安全が確保された範囲内で子供が自由に行動することってすごく大事だなと思いました。

 

現代は誘拐やら交通事故やら性被害やらクマ出没やら、シャレにならない危険が多すぎるので小学生一人で遊びに行かせるのは無理かなあ…。

 

アラフォー母親目線で見て、ユタの生活環境がちょっとうらやましいと思いました。

 

では今回はこのへんで。
次回も引き続き『ユタとゆかいな仲間たち』です★