自分のお母さんのことが好きですか?
そう質問されて迷わず「大好き!」と答えられる人は少ないのではないでしょうか。
いやいや、そもそも簡単に答えられる類の質問ではないですよね。
私なら「善人ではあるけど…」と口ごもりつつ、心の中では「嫌い」とキッパリ言います。
そうです、私は母が嫌いなんです。
アラフォーの私は、1950年生まれで今年75歳の母と同居しています。
母と暮らす中で、人の気持ちを想像する力が何か決定的に欠落している点や、
人とまじめに意見交換することから逃げて本音を言わない点や、立場が悪くなるとその場から逃げる点に私は何度も傷付いてきました。
無邪気に母に甘えていた幼少時代、我が強くて自分のことに夢中だった小中学校時代、神経質で人付き合いに苦労した高校大学時代、がむしゃらに働いた数年間、結婚・出産を経て幸せに子育てに取り組んでいる現在…。
子供が小学生になりほんの少し気持ちに余裕ができた今、なんで母ってこんななんだろう、なんで私はこんななんだろう、とモヤモヤ悩むようになりました。
ある本に、”怒りはガソリンのようなもの。燃やし切れば徐々に穏やかになっていく”と書かれていました。
そこで母に言いたいことをノートに思いきり書き付けてみたんです。
そしたら…。
もう出てくるわ出てくるわ!!
30ページ以上にわたって怒りをぶちまけまくりました。
繰り返し出てきた言葉は「許さない」「私に謝れ」です。
幼少時代からの怒りが蓄積していたんですね。
でも母はきっともう忘れています。
自分がやってしまったこと、やるべきなのに逃げてやらなかったこと。
覚えておきたいことだけを覚えていると思います。
だから私の望み、「私に謝れ」は叶いません。
自分の受けた傷は自分のもの。自分でなんとかするしかありません。
私は幼少期からずっと本とともに過ごし、今は司書の仕事をしています。
だったら母を題材にした本を探して読むことで、自分のことをなんとかできないものかな…。
「シズコさん」ってどんな本?作者はどんな人?
前置きがかなり長くなりましたが、そんないきさつで出会ったのが今回ご紹介する本、「シズコさん」です。

作者は佐野洋子さん。
古典的名作絵本「100万回生きたねこ」の作者として有名ですね。
かつて小学校国語の教科書に掲載されていた「おじさんのかさ」も佐野さんの作品です。
1938年中華民国生まれ。父親が南満州鉄道勤務だったため幼少期を大陸で過ごし7歳で終戦を迎えます。
一家で山梨に引き揚げますが、その間、弟二人と兄を亡くしています。
また、19歳の時には父を亡くしています。
武蔵野美術大学卒業後、デザイナーとして勤務し、ベルリン造形大学でも学ばれました。
その後絵本作家として精力的に活動されましたが、乳がんのため2010年、72歳で亡くなりました。
そんな佐野さんの、お母様との長年にわたる激しい確執を語ったエッセイが「シズコさん」です。
お母様の名前がシズさんなんですね。
まず、一読してみて「二人とも激動の人生だったんだな」が素直な感想です。
第二次世界大戦をまるまる生きた佐野さんとシズコさんの人生。
生も死も、原色のまま目の前に突き付けられているような迫力がありました。
自分の母に対する葛藤をなんとかしたくて読んだはずが、なんだか佐野さん母娘の激烈な人生に触れて自分の悩みが一瞬かすみました。
でも一瞬かすんだからと言って何も解決しません。
次の投稿では「シズコさん」の内容をもっと掘り下げて、考えていきたいと思います。
どうぞお付き合いください!